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母がまた笑うようになった日 ──「私の選択は間違っていなかった」と思えた、「デイサービスあずさ」との出会い

母がまた笑うようになった日 ──「私の選択は間違っていなかった」と思えた、「デイサービスあずさ」との出会い

25/4/22 3:00

「もう限界かもしれない」と思った朝

母の様子が明らかに変わり始めたのは、父が亡くなった翌年のことでした。それまでは一人でも身の回りのことをこなしていた母が、急に料理の手順を忘れたり、ゴミ出しの曜日がわからなくなったり、日によっては同じ話を何度も繰り返すようになりました。

最初は「年相応のもの忘れだろう」と軽く受け止めていましたが、次第にその頻度は増え、転倒も多くなり、家に閉じこもる日が増えていきました。ケアマネジャーさんに相談したところ、介護認定を受けた結果は「要介護2」。

それでも私は「できるだけ自宅で看てあげたい」と思っていました。 しかし、ある朝、私が仕事に行くために家を出ようとしたとき、母がポツリと漏らした言葉に胸が締めつけられました。

「私、今日も一日、ひとりなんだよね…」

施設に預けることは「親不孝」なのか?

介護サービスを利用することは、母を“他人任せ”にすることではないか──そんな思いが、私の心にずっと引っかかっていました。

もちろん、体は疲れていました。夜中にトイレに起こされ、昼間は仕事、休日は病院や買い物の付き添い。気づけば、自分の時間なんて1分もないような生活。

でも、そんな中でも「母をどこかに預けるなんて…」という罪悪感が、私の足を止めていたのです。

そんなとき、ケアマネさんから紹介されたのが、あのデイサービスでした。

「見学だけでも行ってみませんか? ご本人も、外との接点ができたほうがいいですよ」

心の中ではまだ迷いながらも、私は見学に申し込むことにしました。

初めて施設を訪れた日

訪問したのは、梅雨の晴れ間の穏やかな日でした。小さな看板と手入れされた植木が並ぶ、落ち着いた外観の建物。正直なところ、施設のイメージはもっと“無機質”なものだと思っていたので、その柔らかな雰囲気に少し驚きました。

玄関を開けると、明るい挨拶の声と、どこか懐かしい歌謡曲が流れていました。スタッフの方が笑顔で迎えてくださり、「ようこそ、今日は見学なんですね。どうぞ、どうぞ」と丁寧に案内してくれました。

見学中、食堂では利用者の皆さんが手作りの紙細工を楽しんでいました。機能訓練のスペースでは、スタッフの方が優しく寄り添いながらリハビリを指導している様子も見られました。

でも何より心を打たれたのは、スタッフの方々の“目”でした。一人ひとりにしっかりと視線を合わせ、名前を呼び、丁寧に言葉を交わしている姿に、ただの業務ではない「温度」を感じたのです。

「ここなら…母も、安心して通えるかもしれない」 そう思った瞬間、なぜか胸の奥からふっと肩の力が抜けたような気がしました。

母の「日常」が少しずつ変わっていった

通所が始まって最初の数日は、母も少し緊張していた様子でした。「今日は何をするの?」と聞いてきたり、「ちょっと恥ずかしい」と不安げに言ったり。でも、帰ってくると顔がほころんでいることが増えました。

ある日、仕事から帰ると、母が「今日は歌を歌ったのよ。みんなで“青い山脈”をね」と嬉しそうに話してきたのです。その目が、少し前まで見せていた“ぼんやりとした影”ではなく、生き生きとした光を宿していました。

そこから母の生活は、目に見えて変わっていきました。食欲が戻り、夜もぐっすり眠るようになり、テレビを見ながら笑ったり、私に「これ面白いね」と声をかけてくるようになったのです。

デイサービスのスタッフの方は、定期的に母の様子を丁寧に記録してくれ、私にも共有してくれました。ちょっとした異変や変化にもすぐに気づいてくれ、「今日は少し疲れていたので、休憩を多めに取りました」などと細やかに報告してくださる。そのたびに、「ここに任せてよかった」と心から思えるようになっていきました。

“頼ること”は“手放すこと”じゃない

介護というのは、時に「自分との戦い」でもあると思います。どこまでできるか。どこまでやるべきか。どこまでが“親孝行”なのか。

でも、あのデイサービスとの出会いが教えてくれたのは、「誰かに頼ることは、親を見捨てることではない」ということでした。

母にとっても、私にとっても、外の世界とつながることは“安心”や“誇り”を取り戻すきっかけになりました。

今では、母は週3回のデイサービスの日を心待ちにしています。「明日はデイの日よね?」と前日に確認してくることさえあります。

私自身も、自分の時間を持つことができ、イライラや疲れをため込まずに母と向き合えるようになりました。

もし、あなたが今悩んでいるなら

「うちの親に合う場所なんて、あるのかな…」 「ちゃんとケアしてくれるの?」 「預けるなんて、親に申し訳ない…」

そんな不安や迷いが、私にもたくさんありました。

でも、ひとつだけ言えるのは── “安心できる場所”は、ちゃんとあります。

一歩踏み出すことで、親にも、あなた自身にも、思いがけない変化が訪れるかもしれません。

もし、どこかにそんな場所を探しているなら、 どうか一度、このデイサービスを見てみてください。

きっと、私のように「ここでよかった」と思えるはずです。

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