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歩ける時間を1日でも長く──うちの機能訓練の考え方

歩ける時間を1日でも長く──うちの機能訓練の考え方

25/4/22 3:00

「転ばせたくない。でも、寝たきりにもしたくない。」

これは、要介護の高齢者を支えるご家族にとって切実な願いです。

「無理させたくないけれど、動かないとどんどん体が弱っていく」 このバランスの難しさに悩む方はとても多いのではないでしょうか?

私たちのデイサービスでは、そんな声に応えるために、 “日常生活の中で機能を維持・回復する”ことを重視した「生活機能訓練」に取り組んでいます。

この記事では、当施設の考え方や取り組み、実際の事例を交えながら、 「どうすれば“歩ける”を守れるのか?」をご紹介していきます。

【1】機能訓練は“リハビリ室”の中だけで終わらない

多くの方が「リハビリ=特別な運動・トレーニング」と思いがちです。

もちろん理学療法士が指導する訓練も重要ですが、私たちが大切にしているのは、

“日常生活の中にある動き”こそが、本当のリハビリになる

という考え方です。

立ち上がる、座る、台所で物を取る、廊下を歩く。 その一つひとつに、“生活動作を取り戻すチャンス”があります。

だから私たちは、

  • 歩行訓練の一環として「トイレ誘導」も丁寧にサポート

  • 立位バランス向上のために「洗濯物干し」や「配膳」も活用

  • ご本人のやる気を引き出す声かけを徹底

など、“日常×訓練”を意識した環境づくりをしています。

【2】「できること」が「続けられること」になるように

身体機能の維持には、「無理させない」ことと同時に、「成功体験を積み重ねる」ことがとても大事です。

たとえば、

  • 20m歩くことが難しくなった方に、まずは室内5mの移動を目標に

  • 毎回同じ時間に立ち上がる「ルーティン」を作る

  • 歩く速度ではなく、“立ち上がれる回数”を指標にする

など、ご本人にとって「達成できる・続けられる」設計を心がけています。

「今日は昨日よりちょっとラクだった」

そんな感覚の積み重ねが、“自信”と“継続”を支えてくれます。

【3】実例紹介:要介護3 → 週2回歩行で笑顔が戻ったKさん

Kさん(83歳)は、脳梗塞後の後遺症で右足に麻痺があり、杖歩行でした。 初回来所時は「どうせ何も変わらないから」と、無表情で会話も少ない状態でした。

スタッフは無理に動かすのではなく、

  • トイレへの歩行を“訓練”と捉え、毎回一緒に声かけ

  • 昼食前後に“席まで歩く”という小さな目標を設定

  • 徐々に「今日は何歩だったか」をスタッフと一緒に記録

こうして週2回の通所を続ける中で、1ヶ月後には「今日はちょっと歩くよ」と自分から立ち上がるように。

今では、室内を自力で歩いて移動できる距離が倍になり、何より「笑顔で会話」する時間が明らかに増えました。

【4】“筋肉”より“本人の気持ち”が動くことが先

機能訓練で最も大事なのは、

“やってみよう”と思える気持ちを引き出すこと

です。

私たちは、身体機能だけでなく、

  • 表情

  • 声のトーン

  • 話す言葉の変化

など、利用者さまの“内面の変化”をとても大切にしています。

「できた」「今日は調子がいい」 という実感が、筋肉以上に本人の意欲を鍛えてくれるのです。

【まとめ】

寝たきりを防ぐリハビリは、特別なものでなくていい。

毎日の暮らしの中で、「ちょっとやってみようかな」と思える瞬間を積み重ねること。

それが、私たちが大切にしている“生活機能訓練”の考え方です。

ご家族の方にとっても、 「無理させないけど、あきらめない」 そんなケアのヒントになれば幸いです。

▶ ご見学・体験利用も受付中|“その人に合った”機能訓練の工夫、ぜひ見に来てください♪

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