“まだ大丈夫”が一番あぶない──軽度認知症(MCI)への向き合い方

“まだ大丈夫”が一番あぶない──軽度認知症(MCI)への向き合い方
25/4/22 3:00
「ちょっと物忘れが増えただけだし、まだ大丈夫」
もしご家族がそう言っていたら、ちょっと注意が必要かもしれません。
MCI(軽度認知障害)は、認知症の“前段階”ともいえる状態。 完全な認知症ではないけれど、脳の機能低下は確実に始まっているフェーズです。
そして、早期に対応することで進行を防ぐ可能性が高まる、とても大事な時期でもあります。
この記事では、MCIの特徴、兆候、そして私たちが施設で取り組んでいる対応方法をご紹介します。
【1】MCIってどんな状態?
MCI(Mild Cognitive Impairment)は、
年齢相応を超える物忘れがある
でも日常生活には大きな支障は出ていない という、非常に微妙なラインにある状態です。
代表的な兆候としては:
同じ話を何度も繰り返す
買い物で同じものを何度も買う
予定を忘れてしまうことが増えた
以前よりも段取りが悪くなった
一見“うっかり”のように見えますが、
「少しずつ確実に、自分の中の“基準”がズレている」 というサインなのです。
【2】「様子を見る」では進行する可能性も
MCIの状態で放置すると、
約半数が数年以内に認知症へ進行すると言われています。
一方で、適切な対応や生活習慣の改善によって、
状態が安定する
あるいは改善する ケースも報告されています。
つまり、
「早めに気づいて、生活を見直す」 ことが最重要です。
【3】当施設で行っているMCIへのアプローチ
① 生活リズムの構築
同じ時間に起きる・食べる・通うことで“脳の習慣化”をサポート
② 脳活レクの導入
回想法・計算・文字・指先作業など、認知領域を多角的に刺激
③ コミュニケーション量を増やす
「話す・聞く・笑う」が脳の血流を促進し、感情の安定にもつながります
④ 本人の“得意”を見つけて伸ばす
「あなたがいると助かる」という役割づくりで、自信と社会性を維持
【4】家族ができること
MCIは、本人も「ちょっと変かも?」と気づきながら、 不安やプライドからなかなか言い出せないことが多いです。
だからこそ:
「最近こういうこと増えたよね」と“客観的”に伝える
「ちょっと見学に行ってみない?」と軽く誘う
「こういう場所、若いうちから使う人も多いみたいだよ」と敷居を下げる
など、心理的なハードルを下げる工夫が大切です。
【まとめ】
MCIは「まだ大丈夫」ではなく、「今が大事なタイミング」。
ご本人の“気づき”や“小さな異変”に、まわりが早く気づいてあげること。
そして、専門的なケアや環境で、進行をできるだけゆるやかにすること。
それが、“今後の人生の質”を守るための第一歩です。
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