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“生活リハビリ”って何?──要介護でも“できる”を育てる考え方




「リハビリって、専門家がやる運動のことじゃないの?」

そう思っている方は多いと思います。

もちろん、理学療法士や作業療法士による専門訓練も大切です。 でも、それだけが“リハビリ”ではありません。

私たちが現場で大切にしているのは、

「日常生活の中で、“できる”を少しずつ育てる」 という“生活リハビリ”の考え方です。

この記事では、要介護の方でも前向きに取り組める、 生活リハビリの具体的な工夫をご紹介します。



【1】“生活”の中にあるリハビリのチャンス


歯磨きで手を上げる動作


  • お茶碗を運ぶ際のバランス感覚

  • 服を脱ぐ・着るときの手足の可動域

実は、こうした日常の一つひとつが、「動作の維持・回復」に大きく関係しています。


つまり、

特別なリハビリの時間よりも、“日々の繰り返し”の中に機能訓練の種がある

ということなのです。



【2】“できること”を減らさないために



介護が必要になったとき、周囲はつい「やってあげる」ことが増えます。

もちろん支援は大切ですが、

本人が“まだできること”を奪わない ことも、リハビリの視点からはとても重要です。


たとえば:

  • 食器を下げてもらう(立ち上がり・歩行のチャンス)

  • コップを拭いてもらう(手指の運動)

  • 簡単な洗濯物たたみ(記憶・注意力・達成感)


“小さなお願い”が、実は大きなリハビリになります。



【3】ご本人の“役割意識”が意欲を生む

生活リハビリでもうひとつ大切なのが、

「誰かの役に立っている」という感覚

「〇〇さん、今日もお花に水やりしてくれてありがとう」 「このお茶、〇〇さんが配ってくれたのね」

そんな声かけが、本人の自尊心とモチベーションを育て、 「動こう」「やろう」と思える原動力になります。


【4】“成功体験”が積み重なる環境をつくる



「やらせる」ではなく、

「できた!」という感覚を日々の中でつくる

これが生活リハビリの核心です。


そのために:

  • 無理のない範囲で、ちょっとしたチャレンジを設計する

  • 周囲が成功を見逃さず、しっかり褒める

  • 毎日少しずつ変化を記録し、本人と共有する


そうすることで、動作だけでなく、“前向きな心”が育っていきます。

【まとめ】


生活リハビリは、「特別な時間」ではなく「暮らしの中」で行うケアです。

どんな状態でも「まだできることがある」「誰かの役に立てる」と感じることが、 身体と心の両面にとっての“本当のリハビリ”になります。

無理なく、楽しく、続けられる。 それが、私たちが目指しているリハビリの形です。






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