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“まだ大丈夫”が一番あぶない──軽度認知症(MCI)への向き合い方




「ちょっと物忘れが増えただけだし、まだ大丈夫」

もしご家族がそう言っていたら、ちょっと注意が必要かもしれません。

MCI(軽度認知障害)は、認知症の“前段階”ともいえる状態。 完全な認知症ではないけれど、脳の機能低下は確実に始まっているフェーズです。

そして、早期に対応することで進行を防ぐ可能性が高まる、とても大事な時期でもあります。

この記事では、MCIの特徴、兆候、そして私たちが施設で取り組んでいる対応方法をご紹介します。



【1】MCIってどんな状態?



MCI(Mild Cognitive Impairment)は、

  • 年齢相応を超える物忘れがある

  • でも日常生活には大きな支障は出ていない という、非常に微妙なラインにある状態です。

代表的な兆候としては:

  • 同じ話を何度も繰り返す

  • 買い物で同じものを何度も買う

  • 予定を忘れてしまうことが増えた

  • 以前よりも段取りが悪くなった

一見“うっかり”のように見えますが、

「少しずつ確実に、自分の中の“基準”がズレている」 というサインなのです。



【2】「様子を見る」では進行する可能性も


MCIの状態で放置すると、

約半数が数年以内に認知症へ進行すると言われています。

一方で、適切な対応や生活習慣の改善によって、

  • 状態が安定する

  • あるいは改善する ケースも報告されています。

つまり、

「早めに気づいて、生活を見直す」 ことが最重要です。



【3】当施設で行っているMCIへのアプローチ



① 生活リズムの構築

  • 同じ時間に起きる・食べる・通うことで“脳の習慣化”をサポート


② 脳活レクの導入

  • 回想法・計算・文字・指先作業など、認知領域を多角的に刺激


③ コミュニケーション量を増やす

  • 「話す・聞く・笑う」が脳の血流を促進し、感情の安定にもつながります


④ 本人の“得意”を見つけて伸ばす

  • 「あなたがいると助かる」という役割づくりで、自信と社会性を維持


【4】家族ができること



MCIは、本人も「ちょっと変かも?」と気づきながら、 不安やプライドからなかなか言い出せないことが多いです。

だからこそ:

  • 「最近こういうこと増えたよね」と“客観的”に伝える

  • 「ちょっと見学に行ってみない?」と軽く誘う

  • 「こういう場所、若いうちから使う人も多いみたいだよ」と敷居を下げる

など、心理的なハードルを下げる工夫が大切です。

【まとめ】


MCIは「まだ大丈夫」ではなく、「今が大事なタイミング」。

ご本人の“気づき”や“小さな異変”に、まわりが早く気づいてあげること。

そして、専門的なケアや環境で、進行をできるだけゆるやかにすること。

それが、“今後の人生の質”を守るための第一歩です。










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